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#106 Curious Dad

私の父はすごく好奇心の強い人です。

その好奇心の強さと実行力と凝り性は、
子供四人を合わせても越えられないかもしれないくらい。

求道者の様に自分のわからない領域も、とことん突き詰めて答えを出すタイプ。

スキーを始めたのは齢40歳を過ぎてからですが、
いつの間にかインストラクターの資格を取っていました。

休日はゴルフの打ちっぱなし、テニス、スポーツクラブを駆け巡り。
子供が起きる前から出かけ、お昼を食べに戻って来て、また出かけ。

家に居ると思えば庭の草木を刈り、家庭菜園に燃え。
星が出ればベランダに天体望遠鏡を出し、一時間でも二時間でも星を眺め。
最近では家の中でヘリコプターのラジコンを飛ばして母に怒られる始末。

そんな父に子供四人がつけた渾名は『まぐろ』。
止まると死ぬんではないかとマジメに心配しちゃうくらい。

そんな父が年末、家の階段から滑って足の骨を折りました。

こんなに動き回るのが好きな父が、
骨折のために動けないのはかわいそうだなぁと思って心配してたのですが。

彼にそんな心配はまったくもって不要でした。

書斎に籠りコツコツ何か作業をする父、覗きに行くとパソコンをいじってる様子。
『…ん、面倒なことになったぞ。。』っていうのが正直な感想。

うちの父は基本的には草食動物的で宇宙級に広い心を持つ素敵パパなのですが、
機械系の調子が悪いと人が変わったように非常に不機嫌になります。

よくわからないのに自分で直したがるから大変。
わからないから直らないのに、直らないとイライライラ…

私が聞かれた質問に『あー、それちょっとわかんないな』と答えると、
『あずは現代っ子だと思ってたけど大した事ないんだね』と言ってスタスタ去って行く。

『ちょっと待て、コラーァ!!』と心の中で叫んだことが何回あったか…

だってちょっと前までCDさえ焼けなかった父です。
『何で足折ったからって不得意なパソコンに興味持っちゃうのよ』と母娘はがっくり。
『父+パソコン=家庭の不和』という公式を知る二人の反応。

心配は的中。

ある日家に帰ったら。
フロッピーが出てこなかったとか何だとかで、我が家のパソコンは解体されていました。

パソコンの横でイライラ黙々と解体を続ける父。
その姿を見て苦笑い、何も言わず部屋に戻る娘。

しかし。
以来、父のパソコン成長は目を見張るものがありました。

骨折した足を引きずりながらランチの時間に電器屋に通い、
店員さんと仲良くなり、色々な知識を仕入れる日々。

毎日大切そうに箱を抱えて帰って来ては夕飯の後ウキウキ書斎に消えていく父。
気付いたら父のパソコン周りがかなりの進化を遂げていました。

今日は父の誕生日。
最近めっぽうパソコンと仲良しさんの父にねだられたのはiPod、しかも80GBの。

『高いから30GBのでも良いんだけど…』
『あ、やっぱり本当に30GBのでイイ!!80GBなんてそんなに使わないもんね』
『80GBのは30GBのより3ミリ厚いんだって、薄いのがカッコイイよね』

色々頑張って自分に言い聞かせてたみたいだけど。
娘は本当はどっちが欲しいのかなんてお見通しなのよ、お父さん。

今、同じ屋根の下で。
嬉しそうに一生懸命iPodをいじる父が居ます。

ファザコンじゃないけど、
私はこんな父をすごく誇りに思います。

いつか家に帰って来て。
今日あげたiPodが解体されていた暁には。

苦笑いがノンストップだと思うけどね、お父さん。
by a_mazing_zoo | 2007-01-14 23:02
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